ドクター・患者さんインタビュー

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以前の生活に戻れてほっとした感じがありました。激しい運動はできませんでしたが嬉しかったです。
山﨑:一度、つらい痛みを経験すると、痛みがなくても心のどこかに恐れが残ってしまうという事はよくあることです。 ゆっくり時間をかければ元通りになってくると思いますよ。
自家培養軟骨移植術を受けてよかったと思いますか
TM:元通りに生活できるようになったのでもちろん良かったと思っています。先生にもとても感謝しています。
再生医療は高額であると一般の方は思うようですのでお聞きしたいのですが、今回の手術費用(実費)についてどう思われますか
TM:1回目と2回目の手術を併せて数十万程度だったと思います。 手術費用については両親に任せていましたので自分から言うのも変ですが、とても高額で困ったという感覚はないと思います。
この自家培養軟骨移植術をこれから受けようと考えている患者さんに一言お願いいたします
TM:自分はこの手術を受けて良かったと思っています。この手術を受け状態がよくなり、また以前の生活を取り戻せました。 ケガをする前の状態に戻ってパフォーマンスをしたいなら、ぜひ手術を検討したほうがよいと伝えたいです。
山﨑:手術を受ける前に、長い間スポーツができないといわれた時、どう感じましたか。
TM:自分の場合は、5月の診断のとき、ある程度、部活をやり切っていたので特にショックはありませんでした。 手術をしたのは引退直前でしたし。むしろケガをした時期が全盛期でこれからという時であり、試合も断っていたのでつらかったです。 今は就職したてなので、テニスもジムも通っていませんが今後またスポーツをしたいとは思っています。

注)このグラフはTMさんに「症状」「痛み」「日常生活」「スポーツやレクリエーション活動」「生活の質」について、回復の程度を5段階に分けて聞き取りをした結果です。例えば、「症状」の場合、質問が5つあり「ひざに腫れがありますか?」という質問に対し「まったくない」「まれにある」「ときどきある」「ひんぱんにある」「いつもある」のどれかを答えていただきます。「まったくない」という一番良い状態の回答が多ければ多いほど、スコアは100に近づきます。つまり、グラフは、術前は低かったスコアが経時的に100に近づき改善されていることを示しています。「症状」「痛み」「日常生活」と比べて「スポーツやレクリエーション活動」「生活の質」の術前スコアが低いこともわかります。しかし、1年、2年と経過をみますと90点から100点近くまで改善されています。

主治医:大阪市立総合医療センター
整形外科 医長 山﨑真哉先生

主治医:大阪市立総合医療センター 整形外科 医長 山﨑真哉先生

認定資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本医師会認定健康スポーツ医

主な専門分野:スポーツ整形外科、ひざ関節外科、関節鏡視下手術(下肢)

役職:日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会評議員、日本臨床スポーツ医学会代議員

参考URL(スポーツ整形外科・関節鏡手術の紹介)

https://www.osakacity-hp.or.jp/ocgh/inv/sur/seikei/sports.html

現所属(2023.12 時点):東京スポーツ&整形外科クリニック(TSOC)

https://tsocs.jp/staff/

主治医の山﨑先生にお伺いしました
先生のいらっしゃる「大阪市立総合医療センター・スポーツ整形外科」についてお教えください

ひざを中心としたスポーツ傷害を診ています。患者さんの多くは近隣の病院から手術目的で紹介されていらっしゃいます。 手術目的で来院された場合でも、リハビリや保存療法が適切な患者さんにはそのようにお話しして治療を行います。 またひざに限らず、肩、足関節、肘などの傷害についても同様に治療しています。
先生が診断・治療されるスポーツのケガで一番多いのは何でしょうか
多いのは前十字靱帯損傷と半月板損傷です。軟骨の損傷はそれほど多くはありませんが、離断性骨軟骨炎や変形性ひざ関節症も治療しています。
軟骨損傷が起きやすいスポーツはありますか
ジャンプや捻りがある種目は軟骨損傷のリスクが高いです。 例えば、バレーボール、陸上、バスケットボール、サッカー、バドミントンなどですね。 リオデジャネイロ五輪の後、バドミントンの人気が高まって、前十字靱帯を痛めて来院される10代から30代の方々が増えました。
軟骨損傷になった場合、どのような症状がでますか
TMさんのように「痛み」「腫れ」「ひっかかり」「ロッキング」がみられます。特に「腫れ」に注意していただきたいです。 軟骨損傷時の「腫れ」は一般の方でもわかるほど、関節液が溜まってかなり腫れる場合があります。 TMさんの場合は、ひざのお皿の骨の輪郭が分からないくらい腫れていました。ひどい場合には関節液が100㏄も溜まってしまう方もいます。
ケガ予防のために、私たちが出来ることはありますか
ストレッチとバランストレーニングをお勧めします。特にストレッチです。 実は私、分裂膝蓋骨という疾患をもっていまして、ひざが硬いと痛みが出ます。 大好きなゴルフで時々支障があったので、今年のはじめから毎日10分ストレッチを行うようにしました。 すると、痛みがなくなり身体も柔らかくなってきました。みなさんも今からでも遅くないですから、 毎日ストレッチを行ってみるといいと思います。また、片脚立ちでバランスをとるだけでも体幹・下半身を鍛えることができます。 簡単なものを毎日続けるのは意外と難しいですが、隙間時間をみつけて3ヶ月頑張れば実感できるようになると思います。 私は、ゴルフのスコアを伸ばしたいのと、アンチエイジングがストレッチを続けるモチベーションです(笑)。 体重コントロールも、ひざへの負担にはもちろん大事です。 最後に、スポーツ前には必ず準備運動をすることです。十分な準備をせずにマラソンデビューをして、 翌日激痛で来院される方もいらっしゃいますので要注意です。
山﨑先生、TMさん、ありがとうございました。(取材:2021/8/6)

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