角膜の再生医療について、角膜の再生医療「自家培養角膜上皮」についてご説明します。

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自家培養口腔粘膜上皮について

「自家培養口腔粘膜上皮」は、患者さんご自身の口腔粘膜組織から取り出した口腔粘膜上皮細胞を培養してシート状にしたものです。 大阪大学の西田幸二教授らが2003年から2004年にかけて開発し臨床応用した技術です。 この技術は企業に移管され製品化、2021年6月に国から製造販売承認され、2021年12月より保険での治療が可能となりました。 「自家培養口腔粘膜上皮」は、「自家培養角膜上皮」と同じように、培養の過程で「3T3細胞」を使用します。 「自家培養角膜上皮」では、患者さんの正常な角膜輪部組織から角膜上皮幹細胞を取り出し培養を行うことから、 両眼がLSCDで正常な角膜輪部組織がない患者さんには使用できませんでした。 しかし、「自家培養口腔粘膜上皮」は、患者さんの口腔粘膜組織から取り出した細胞を培養します。 それにより、両眼がLSCDの患者さんに対しても治療が可能となります。 これらの治療法は、従来のLSCD治療に大きな進歩をもたらし、患者さんのQOLの向上に貢献できると注目されています。

保険適用

保険の適用について

2021年12月より「自家培養口腔粘膜上皮」が保険適用となりました。この治療は高額療養費制度の 保険適用対象となります。

高額療養費制度についてはこちらをご覧ください。


自家培養口腔粘膜上皮について

Q1 自家培養口腔粘膜上皮は、自家培養角膜上皮とは何が違うのですか?
  • 自家培養口腔粘膜上皮は、自家培養角膜上皮と同じく角膜上皮幹細胞疲弊症(LSCD)の治療を目的として開発が進められました。 自家培養口腔粘膜上皮は、患者さまの眼からではなく、口腔から粘膜組織を採取し培養します。 完成した口腔粘膜上皮シートを患眼に移植すると、細胞が生着して上皮化し、欠損した角膜上皮を修復します。 そのため、自家培養角膜上皮では治療が困難な、健常な角膜輪部が残っていない患者さまでも治療が可能です。
  • Q2 両眼が悪い場合は治療できないのでしょうか?
  • 両眼が悪い場合でも、自家培養口腔粘膜上皮であれば、培養する細胞を口の中から採取するため治療が可能となります。
  • Q3 自家培養口腔粘膜上皮による治療はもう受けられますか?
  • 自家培養口腔粘膜上皮は、2021年6月に製造販売承認がおり、2021年12月から保険適用となりました。保険診療で治療が受けられます。
  • Q4 自家培養口腔粘膜上皮による治療はどこでできますか?
  • 一定の基準を満たした医療機関で専門の眼科医による治療が提供されます。 自家培養口腔粘膜上皮による治療を行うかどうかは医師・医療機関の判断となります。 詳しくは、最寄りの眼科へご相談ください。
  • Q5 自家培養口腔粘膜上皮でどのような疾患が治せるのでしょうか?
  • 2021年6月、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療に対して、自家培養口腔粘膜上皮が国から製造販売承認され、2021年12月1日より保険適用となりました。 自家培養口腔粘膜上皮は、自家培養角膜上皮では適応外となる以下の患者さんについても保険による治療が可能です。 ・スティーヴンス・ジョンソン症候群の患者 ・眼類天疱瘡の患者 ・移植片対宿主病の患者 ・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患の患者 ・再発翼状片の患者 ・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症患者
  • Q6 自家培養口腔粘膜上皮の手術はどのようなものですか?
  • まず初めに頬粘膜部から10×5㎜程度の組織を採取する手術をうけます。 組織は特別な容器で工場に運ばれ、4週間培養されます。 培養の完了にあわせて2回目の手術がおこなわれます。 患眼の濁った組織を取り除いた後、細胞シートを移植して縫合します。 術後は注意深く経過観察が行われます。
  • Q7 治療費用はどの程度かかるのでしょうか?
  • この自家培養口腔粘膜上皮を用いた治療は高額療養費制度の対象となります。 患者の自己負担額は、所得にもよりますが、月額6~25万円程度(2022年6月現在)とされています。 高額療養費制度の詳細については、下記厚生労働省のホームページをご覧ください。 厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
  • Q8 入院期間や術後の生活はどうなりますか?
  • 基本的に、組織採取は日帰り、あるいは一泊程度、移植手術は数週間程度の入院となります。 退院後はしばらく抗生物質などを点眼いただき、1年ほどコンタクトレンズを装用し生活することとなります。
  • Q9 術後の合併症や術後成績について教えてください
  • 自家培養口腔粘膜上皮による角膜上皮疾患の治療は、2000年前半に大阪大学の西田幸二教授らが開発しました。 その臨床結果は報告の通りで良好でした(1)。この技術が企業に移管・製品化され、国による審査を受け2021年に製造販売承認されました。
    (1)Nishida K, Yamato M, Hayashida Y et al:Corneal reconstruction with tissue-engineered cell sheets composed of autologous oral mucosal epithelium. N Engl J Med 351:1187-1196(2004)
  • Q10 角膜上皮幹細胞疲弊症(LSCD)以外に使用できないのですか?
  • 治験の結果、国から適応として承認されているのが角膜上皮幹細胞疲弊症(LSCD)です。 それ以外の疾患については保険での治療ができない状況です。
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