再生医療の課題

再生医療は、これまで治療方法がなかった病気を治せる可能性がある治療法として期待されています。

再生医療等製品は、これまでの医薬品とは「ビジネスモデル」が異なります。 例えば、有効期限が短い、医師の手術によって治療成績が異なる、コストが高いなどです。 種類も多種多様で、自家培養表皮のような手術を伴う「組織移植」タイプ、間葉系幹細胞など点滴投与する「細胞移植」タイプ、 がん治療で有名な「CAR-T療法」、最近では「ウイルス」タイプも承認されています。 一方、患者さん自身の細胞を用いて製品を作るため拒絶がほぼない「自家」タイプ、 他人の細胞を用いて製品をあらかじめ作り置きできる「他家」タイプという分類方法もあります。 このように、さまざまな製品の特徴にあわせた「ビジネスモデル」が作られています。

日本は再生医療の基礎研究および臨床研究も世界トップクラスですが、 製品化に至るまでの環境整備（規制、投資の呼び込み、人材育成、価格制度など）に課題があります。 つまり、研究機関や企業が日本で再生医療等製品を開発し、 製造販売して適切に永続的に利益を得られる環境を作ることが求められているのです。

日本は国民皆保険で、かつ高額療養費制度を活用できる国です。再生医療等製品は研究や製造にコストがかかるため高額な製品が多いですが、 患者負担は少ないという恵まれた環境にあります。一方で、国の医療費負担は日増しに増加しており社会問題ともなっています。 再生医療の課題は、よりコストを抑えて安価な治療にすることで、あたりまえの医療にすることなのです。

そして、今後は、再生医療先進国である日本で再生医療等製品を開発したいという海外の企業が集まることで、 日本の再生医療が発展し、さらに日本の再生医療で治療したいという海外の方々のメディカルツーリズムも盛んになり、 最終的には日本の再生医療が海外へ広がっていく未来が期待されています。