日本初、ひざ軟骨トラブルからプロ復帰!自家培養軟骨移植術スペシャル対談

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勇気信念を持って治療にチャレンジ!
自家培養軟骨移植術スペシャル対談

東京エクセレンス椎名 雄大 選手✕日本大学医学部整形外科学/日本大学医学部附属板橋病院森本 祐介 先生

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今回はプロバスケットボールチーム、東京エクセレンスのスモールフォワード椎名雄大選手と、担当医である日本大学医学部附属板橋病院の森本祐介先生にお越しいただき、膝軟骨のトラブルから復帰までのお話を伺いました。椎名選手は、本年(2019年4月)に試合復帰されました。

椎名選手、森本先生、本日はよろしくお願いいたします。椎名選手、4/13 鹿児島レブナイズ戦、4/19 埼玉ブロンコス戦と試合出場されたようで、復帰おめでとうございます。久しぶりの試合はいかがでしたか?
椎名:埼玉ブロンコス戦では2分くらい、鹿児島レブナイズ戦では6分くらい出場しました。約2年という長いブランク時間がありましたが、懐かしいという感覚よりも、すごく新鮮な感じがしました。
試合では、膝のコンディションはいかがでしたか。
椎名: まだまだ本来のコンディションにはなっていませんが、問題なくプレーできました。実は鹿児島レブナイズ戦前の練習時に少し腫れが出たので、飛行機に乗る当日に先生に診ていただきました。問題はなく、腫れもすぐひきましたので試合に出ることができました。
膝のトラブルについてお聞きします。どんな様子だったのでしょう。
椎名: 最初に違和感を覚えたのが3年前。2016年8月の半ばくらいです。床に膝をついた時や、膝周りを押すと痛みがあるという状態でした。ちょうどチームの追い込み練習の時期で、その疲れが溜まったのかなと思っていました。でも1週間経っても痛みが消えなくて。
その時は、プレーをしていてもそれほど気にはならなかったのですが、1~2週間経ったころ、膝に腫れが出てきました。少し動いても痛みを感じるようになってきました。
中学からバスケを始めて、今まで大きなケガなどはしたことがなく、膝にトラブルが出たこともなかったので少し焦りました。
森本先生、バスケ選手は膝を悪くする方が多いのでしょうか。
森本: そうですね、一般的に膝や足首のトラブルは多いです。靱帯を切ってしまったり捻挫をしたり。軽い捻挫など2〜3週間で復帰できればいいのですが、靱帯断裂などの大きなトラブルでは8ヵ月以上かかる人もいました。プロの世界では、そうなるとなかなか厳しい状況になりますね。椎名選手のチーム(東京エクセレンス)は選手の健康状態をしっかり管理して比較的トラブルは少ないようですが。
最初に椎名選手を診察した時はいかがでしたか。
森本: 大きく腫れていて、コンディションは悪そうでした。その日はひとまず水を抜いて様子を見ましょうということにしました。しかし、しばらくは良いのですが2週間くらいでまた水が溜まってしまい、また抜くということを数回繰り返したと思います。
膝をMRIで調べたところ、小さな軟骨損傷はありましたが、それほど心配する状態ではなかったので、安静にしてコンディションを整えていけば大丈夫と考えていました。しかし、なかなか腫れがひいてこなかった。
その時もバスケをしていたのですか。
椎名: はい、ちょうど今のチームに移籍をしたばかりで、これからいいパフォーマンスを見せていかないといけない時期ということもあり、意欲的に練習をおこなっていました。また、やりながらでも治っていくのではないかなという期待もありました。
膝はどれくらい腫れていたのですか。
森本: 普通、関節の中には表面が濡れるくらいの水しかないのですが、椎名選手の場合は1回に30~40ccの水を抜いていました。それが月に2回程度。お年寄りなどの膝の悪い方でも、せいぜい10~20cc程度なのでずいぶん多かったですね。
椎名選手、水を抜くと調子はよくなったのですか。
椎名: はい、水を抜いてもらうと腫れや痛みもなくなり楽に動けるようになります。でもプレーをしているとまたすぐに腫れてきてしまいます。これの繰り返しでしたから、この頃はメンタル的にもきつかったです。
森本: そこで、炎症の原因である滑膜を掃除する手術をおこないました。
通常は水を抜いて、薬を入れて安静にすると水はだんだん溜まらなくなってきます。炎症が起きるのは、膝の滑膜が炎症を起こし滑膜炎になるからで、椎名選手にはこの滑膜の炎症を起こしている部分を切除する手術をおこないました。1泊2日程度の手術です。
関節の中は炎症を起こした組織でいっぱいでした。真っ赤になっているその組織をきれいに掃除しました。その時にようやくわかったのですが、MRIで診断していたよりも膝の外側の軟骨組織が大きく損傷していました。膝軟骨はレントゲンでは病状を判断できず、MRIであっても、どれくらい損傷しているかは詳細にはわからない場合もあります。
ただ、椎名選手の場合、半月板はそれほど損傷していなかったので、椎名選手の年齢や今後のチーム状況を考慮し、今回は炎症がおさまり、しっかり筋力を作っていければなんとかいけるのではと考えました。
その手術後はいかがでしたか。
椎名: 1ヵ月半くらいリハビリをして復帰しました。かなり調子がよく、これならいける、治ったと思っていたのですが、また水が溜まってきてしまいました。
森本: 残念ながら、この治療ではやはり無理だったようです。外側の軟骨損傷が再発の原因と考えました。その後、再生医療を使った「自家培養軟骨移植術」があるとお話しさせていただきました。
椎名選手、「自家培養軟骨移植術」の話を聞いた時、いかがでしたか。
椎名: 滑膜の手術をした後、すごく調子が良くてもう治った感があったので、また調子が悪くなった時は、本当にどうしようかという気分になりました。再生医療の話を聞いた時は、もう藁にもすがる気持ち、とにかく今の状況を抜け出したくて。
その頃は前よりも膝の状態が悪くなっていて、プレーどころか日常生活でも苦労するようになっていました。階段の上り下りもきつく、膝はいつも腫れてまっすぐ伸びていない状態。夜寝ている時も膝の痛みで目が覚めてしまったり、寝られないこともありました。
ここまでひどくなったら、もうバスケはできなくなる。この状態をどうにかしたい、選手としてもこのまま終わりたくない。何か手があるなら全てをかけてチャレンジしたいと考え、先生にお願いしました。
新しい治療法であることには特に不安はありませんでしたが、今まで内視鏡手術しかしたことがなかったので、体にメスを入れるということにはやや不安がありました。
再生医療という新しい手術だと、費用面でも心配される方も多いのですがいかがでしたか。
椎名: それは、当然私もはじめにお聞きしました。パンフレットなどもいただき、保険適用の治療ということでしたが正直いくらかかるかなと少し心配でした。結局、入院費を入れて総額460万円位でしたが、保険適用と高額療養費制度で、最終的な支払いは約20万円でした。 ※個人の自己負担額は、所得にもより変動します。高額療養費制度については厚生労働省HPへ
手術は、プロアスリートとして大きな決断でしたね。
椎名: はい。治療に1年間かかると聞いた時は、無理かもしれないという気持ちももちろんありました。プロ選手としての契約が解除されては、仕事もなくなりバスケもできなくなるわけですから。でも、やはり1年かかってもなんとか治して、もういちど選手として最高のプレーをしたいという気持ちの方がはるかに大きかったです。
もちろん、チームにもこのことをお話しさせてもらいました。理解のあるチームで、了承していただいたことは本当に感謝しています。
森本: 椎名選手へのこの手術は、私も迷いました。現役でやっているプロアスリートに、1年間リハビリをしてくださいと、私たちの立場からはなかなか言えません。30歳を越えた選手なら、このままだましだましやっていくという例も多いのです。また、軟骨のトラブルが出たプロアスリートの多くはやめていきます。こうした例も多く見てきて、軟骨治療の難しさを重々感じていましたから気軽にお薦めはできませんでした。また、アスリートが元どおりに復帰できるという実績も当時はありませんでしたからね。椎名選手の場合はチームの理解がすごくあり、待ってくれたというのがとてもよかったですね。
この治療は2回手術ということですが、1回目の手術、2回目の手術それぞれいかがでしたか。
椎名: 1回目は軟骨細胞を採る手術で、内視鏡でおこないましたが特に大変という感じではありませんでした。1泊の入院でした。2回目の手術は、麻酔が効いていたのでよくわかりません(笑)
森本: 自家培養軟骨移植術は、非常に作業が細かいので気を使います。まず、培養軟骨を植える土台を作り、そこに植えた培養軟骨を外れないようにする骨膜の蓋を半分縫い付け、培養軟骨を土台と蓋の間に滑り込ませて縫い合わせます。骨膜はスネから採取する薄い膜で、採取後に丸まってしまったりするので扱いがとても難しいのです。最近は扱いやすい人工膜を使って手術ができるようになりかなり楽になりましたね。手術は2時間半から3時間程度で、特に問題なく進みました。ただ、毎日やるような手術ではないのですごく疲れました(笑)
椎名: 麻酔が覚めて病室のベッドで朦朧としている時に、先生が机に何か置いていきました。朝起きて、「あ、そうだ」と思い出して机の上を見ると、膝を開いた手術写真があって、「うぁ〜」となりました(笑)
森本: 手術の内容がわかるように、写真を撮って本人に渡すようにしているのです(笑)
回復具合はいかがでしたか。
椎名: リハビリも含めて順調だったと思います。入院は1ヵ月間ほどで、1/3荷重がかけられる状態で退院しました。手術した次の日からリハビリが始まったのは少しびっくりしました。事前に聞いてはいたのですが「もう動かしていいの?」と言った記憶があります(笑)
森本: 次の日から車椅子や松葉杖で動いていただきます。無理のない範囲で、どんどん動かしてくださいと言います。とにかく機能を落とさないことが重要です。休んでいると筋肉はどんどん落ちてしまうので、それをなるべく防ぐために、早めに曲げ伸ばしの運動をしてもらいます。膝関節の中の循環を良くすることが軟骨にも重要です。手術後4週目で1/3荷重、6週目で全荷重というのがリハビリの基本メニューで、椎名選手にもそれに従っていただきました。
手術後の気持ちはいかがでしたか。
椎名: 不安は少しありましたが、また動けるチャンスをもらったという気持ちが強く、前向きでした。これから頑張ればまたバスケができると思うと、リハビリもそれほど苦ではありませんでした。
リハビリでは膝の曲げ伸ばしの次にはどのようなことをされたのですか。
椎名: 筋力トレーニングや体幹系のリハビリです。また、入院をしていると、膝以外の筋肉もどうしても落ちてきてしまいますから、それを防ぐために、病院にお願いしてほぼ1日中リハビリとトレーニングをおこなっていました。上半身の筋トレをしたり、屋上に出て椅子に座ってずっとドリブルをしたり。まるで合宿ですね(笑)
できるだけいい状態で戻れるようにしたかったので、病院にはいろいろわがままを聞いていただきました。

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