日本初、ひざ軟骨トラブルからプロ復帰!自家培養軟骨移植術スペシャル対談

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勇気信念を持って治療にチャレンジ!
自家培養軟骨移植術スペシャル対談

椎名 雄大 選手

東京エクセレンス
椎名 雄大 選手 <Shiina Yoshitomo>

1984年2月6日生まれ/ポジション:スモールフォワード
【来歴】
2007年:中央大学を経て栃木ブレックス入団
2008年:埼玉ブロンコスで練習生を経て選手登録される
2009年:リンク栃木ブレックスのD-TEAM ブレックス・バスケットボールクラブに移籍
2010年:ブレックス・バスケットボールクラブを退団し埼玉ブロンコスに復帰
2011年:浜松・東三河フェニックス入団
2014年:信州ブレイブウォリアーズに移籍
2016年:東京エクセレンスに移籍
2017年:3X3.EXE PREMIER(3人制バスケットボールリーグ) TACHIKAWA DICE.EXEにも所属
東京エクセレンス公式サイト : https://tokyo-excellence.jp/

【自家培養軟骨移植術】
軟骨組織採取 2017年11月初め
培養軟骨移植 2017年11月末

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森本: そうでしたね。プロアスリートは一刻も早く復帰するために、リハビリに対して注文がいろいろ細かくなることが結構あるのです。でも彼らは体が資本ですから、それが当たり前と私は思っています。そして彼らは真剣に体を治そうと努力するので、私たちが要求するさまざまなメニューを真面目に一生懸命にやってくれます。こうした人々を治療することで私自身の知識や技術も高まります。やる気がある患者様にはどんどん協力したいと思っています。
退院後の膝の調子はいかがでしたか。
椎名: 退院後は特に問題はなく、6週目には全荷重をかけてリハビリメニューをこなしていきました。2018年12月からランニングができるようになり、新年よりチームに復帰しました。
森本: 丸1年経つまでは走ってはいけないことになっていますからね。椎名選手は2018年11月で丸1年、12月に診察をして問題がなかったので走ることを許可しました。実は術後1年未満がいちばん注意しないといけない時期。調子が悪くないので今まで通りできる気がしてくる。よくある話なのですが。
早く走りたい気持ちはよくわかるのですが、そのような時は患者様に「それでだめになったら悲しいでしょ」と説得しています。
椎名: そうですね。先生に「焦らないでね」とよく言われました。動きたくなって気持ちが先にいっちゃうけど、そこで無理して台無しにしないように心がけていました。
森本: それと、同じ手術をした方のブログなどを見て、あの人はもうこれができているのに自分はできてないと悲観する患者様がいらっしゃいますが、それも感心しません。やはり各々コンディションが違いますし、その内容がどこまで本当のことかもわからない。とにかく医師の診断に従ってほしいです。
最後に「自家培養軟骨移植術」についての感想を。
椎名: やってよかった。膝がとても悪くなった時、もうバスケットボールができること自体が夢のように感じていました。手術によってその夢がかない、今は新しい目標に向けてバスケができている。こんなにうれしいことはありません。2年近いブランクは確かにすごく大変で、不安がなかったわけではありませんが、またコートに戻ってこれたことが何よりの喜びです。膝のトラブルで思うようにプレーできないことは選手としてはとても辛いこと。さまざまな葛藤があるとは思いますが、勇気信念を持ってこうした治療にチャレンジすれば、また可能性が開けてくると思います。ぼく自身、まだまだ完全復帰とはいえない状態ですが、今は前向きでモチベーションも高い状態です。森本先生とこの治療法に心から感謝しています。
森本: 自家培養軟骨移植術のメリットは、自分の硝子軟骨で修復できること、これが最大のメリットです。デメリットは、治療に時間がかかること。1年かかると聞くとやはり尻込みしてしまう人が多いです。半年くらいで治れば治療する方も増えるのではないかと思います。
椎名選手は、本人が頑張ってくれたこともあって今のところ経過は良好で、正直、ほっとしています。ここからどれだけ元に戻れるかが重要なので、私も陰ながら一緒に頑張っていきたいと思っています。
本日はありがとうございました。
(取材日:2019.4.22)

椎名選手の症例と治療

森本先生に椎名選手の症例と治療、膝軟骨のトラブルについてお聞きしました。
椎名選手の軟骨の状態は具体的にどうだったのですか
大腿骨と脛骨があたる部分(外側)と膝蓋骨と大腿骨があたる部分の合計4カ所に軟骨欠損がありました。 自家培養軟骨移植術は、A、C、Dの場所におこないました。Bも治療したかったのですが、手術時にアプローチがしづらく、これ以上、傷口を広げて無理に処置することは、後に椎名選手の膝の機能に悪影響を与えると判断しました。
1年2ヵ月後のMRI画像を術前画像と比較すると、培養軟骨を移植した後、不整な白い部分がなくなり、周りの健常な軟骨と馴染んできているのがわかります。
膝軟骨を損傷するとどうなるのですか。
膝軟骨はいろいろな役割をしているのですが、ここが悪くなると、まず関節の適合性が悪くなります。荷重の分散がうまくいかなくなり、それにより二次的な損傷が起こってきます。関節のバランスが崩れることにより炎症が起き、次に、骨が変形していくという悪循環が起こります。そうして、徐々に変形性膝関節症に進んでいきます。
椎名選手は、長年バスケを続けていて、毎日のようにジャンプ、ターン、ダッシュ、ストップを繰り返してきたことによる損傷だと思いますが、中には1度の負荷で損傷してしまう場合もあります。
膝軟骨の診察について教えてください。
膝軟骨自体は痛みを感じない組織ですので炎症が出て初めて痛みが出るということになります。椎名選手の場合も腫れが出て、水が溜まり、痛みが出たというもので膝軟骨が直接痛みだしたわけではありません。膝軟骨の診察は、レントゲンを診て、骨が大丈夫ですから平気ですよという単純な話ではなく、軟骨部分をしっかり診ていく必要があります。診断時にMRIを使っても、完全にはわからないこともあり、診断が大変難しい組織なのです。確実に損傷の場所、大きさ、程度が事前にわかれば、変形性膝関節症になっていく人たちもずいぶん救われるのですが。
膝軟骨を守るためにはどうしたら良いですか。
膝周りの筋肉をつけることが大切とよく言われますね。もちろんすごく大事なことですが、今回はそれ以外のことをお話しします。スポーツをおこなっている人や一般の方もそうですが、自分の体のことがわかっているようでわかっていないと思います。筋肉や機能が落ちてきていても自分ではわからずに、気づかないでいつものように激しく動いてしまい損傷してしまうことが多くあります。それを防ぐために、調子がおかしいと思った時は相談できるトレーナーなどにみてもらうことがよいと思います。自分のコンディションを外から客観的に見てもらい、教えてもらうと運動能力を上げるとともに損傷のリスクが減っていきます。自分で考えてトレーニングする人が多いと思いますが、トレーナーにダメなところ、弱いところを教えてもらってトレーニングすることのほうが非常に効率的で安全です。
椎名選手も、自分では気づけない体のブレや癖などをトレーナーに細かく指摘してもらい、修正プログラムを作ってもらっているようです。
治療を検討されている方にアドバイスを。
膝軟骨の治療はその時期を逃さないでほしいです。適切な時期をきちんと捉えて治療をおこなうことがとても大事です。時期を逃し、症状が進行し、治療できなくなることが一番残念なことです。
手術は誰でも嫌なものです。でも、膝軟骨のトラブルは放っておくとどんどん進行しますので、主治医の先生としっかり相談して治療方法を決めることをお薦めします。

森本裕介先生

日本大学医学部整形外科学/日本大学医学部附属板橋病院
森本 祐介 先生 <Morimoto Yuusuke>

【役職】/医長
【専門分野】/スポーツ整形外科
【専門医・資格など】/日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ認定医、日本体育協会公認スポーツドクター
【所属学会、学会活動】/日本整形外科学会 会員、日本整形外科スポーツ医学会 評議員、日本臨床スポーツ医学会 会員、JOSKAS 会員、日本足の外科学会 会員、日本肩関節学会 会員、関東整形災害外科学会 会員、東日本整形災害外科学会 評議員、日本レーザー治療学会 理事、日本レーザー・スポーツ医学会 理事、横浜スポーツ整形外科フォーラム世話人、埼玉膝スポーツ研究会 世話人

椎名選手からみなさまへ

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