自家培養軟骨移植術 早分かり

自家培養軟骨移植術について

  • 自家培養軟骨移植術の特徴
  • 治療について
  • 対象の患者さんについて
  • 費用について
  • 回復について1
  • 回復について2
  • 回復について3
  • 歴史と開発背景
  • 開発者について

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ドクター・患者さんインタビュー

自家培養軟骨移植術 早わかり

「自家培養軟骨移植術」の要所がわかるページです。それぞれの詳細はメニューボタンから閲覧ください。

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自家培養軟骨移植術の特徴

1「拒絶反応がおこりにくい」

移植医療分野では拒絶反応をどれだけコントロールできるかがキーポイントになります。「自家培養軟骨」は、患者さんの軟骨組織から作製されるので拒絶反応は他の治療に比べ著しく低いです。

2「大きなひざ軟骨損傷に対応」

今まで治療できなかった大きな「ひざ軟骨欠損」(合計4㎠以上)の治療が可能です。損傷サイズが合計4㎠以上の患者さんが治療を受けられます。

3「保険が使えるから費用の自己負担が少ない」

再生医療はお金が掛かる自費治療と思っている方がたくさんいらっしゃいます。「自家培養軟骨移植術」は保険が適用されます。治療費はその人の年齢、年収、入院期間などで変化しますが、数十万円程度です。

その他

日本で2番目に認可された再生医療です
現在までに1000人以上の方が治療を受けています
手術方法や適用は進化しています
2019年1月から「骨膜」のかわりに「人工コラーゲン膜」が使用できるようになりました。また、外傷等に起因する「二次性の変形性膝関節症」を「自家培養軟骨移植術」の対象とする治験が実施されています。

対象の患者さん

1「外傷性軟骨欠損症(がいしょうせいなんこつけっそんしょう)」で、
 
「軟骨の損傷サイズが合計4㎠以上」の患者さん

「外傷性軟骨欠損症」はスポーツでの接触や交通事故など外からの強い衝撃で、ひざ軟骨の一部が欠けてしまう(剝がれてしまう)症状です。

2「離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)」で、
 
「軟骨の損傷サイズが合計4㎠以上」の患者さん

激しいスポーツや労働などで、ひざに繰り返し力が加わることで、軟骨が軟骨の下にある骨とともに剝がれてしまう症状です。スポーツ選手や若い人に多く見られます。

治療について(治療を受けるまでのおおよその流れになります)

ご注意:ひざのトラブルはさまざまで、それに応じた診察・診断法があります。最終的にはかかりつけの病院や医師の判断に従ってください。

1 診察

ひざに異常を感じたら、まず近所の診療所(クリニック)の受診をおすすめします。さらに専門病院の診療を受けるには、今受診している医療機関の「紹介状(診療情報提供書)」があるとスムーズです。
「自家培養軟骨移植術」の対象となる患者さんは、「外傷性軟骨欠損症」あるいは「離断性骨軟骨炎」で、軟骨の合計損傷サイズが「4㎠以上」の方です。
診断までに、レントゲン検査(X線検査)、MRI検査、CT検査などの画像検査などもおこなわれます。ひざ軟骨損傷は診断が難しく、患者さんの自覚症状もさまざまで、ひざの治療法も複数あるので、医師とよく相談して最適な治療法を選択することが大切です。

2 アレルギー検査

「自家培養軟骨移植術」の治療を受ける場合、初めに2種類のアレルギー検査をおこないます。一つは「牛肉」に対するアレルギー検査(血液検査)、もう一つは「アテロコラーゲン」に対するアレルギー検査(皮内注射)です。アレルギー検査が陰性(反応が現れない)の方しか手術を受けることができません。

3 軟骨組織の採取(1回目の手術)

「自家培養軟骨移植術」は、手術を2回おこないます。その1回目が培養する軟骨細胞を採取する手術です。関節鏡による手術で、手術時間は30~40分程度、入院期間は1日程度です。採取する軟骨組織は0.4gほどです。

4 軟骨細胞の培養

採取された軟骨組織は、専用のアテロコラーゲンというゲルと混合して培養され、4週間後には「自家培養軟骨」が完成します。完成した「自家培養軟骨」は500円玉大でゼリーのような硬さのものになります。

5 移植手術 (2回目の手術)

移植手術(2回目の手術)は全身麻酔でおこなわれます。患者さんのひざの状態により手術時間は変わってきますが、2~3時間程度です。軟骨の損傷した部分をきれいに整えて、欠損部に「自家培養軟骨」を乗せ、人工コラーゲン膜でふたをして縫合します。

「自家培養軟骨移植術」は比較的新しい治療法ですが全国の病院で受けることができます。
詳しくはこちらへ

「自家培養軟骨移植術」は比較的新しい治療法ですが全国の病院で受けることができます。
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費用について

「自家培養軟骨移植術」は、2013年4月から保険が適用されています。さらに、高額療養費制度(※)の対象になります。治療を受ける際、患者さんの自己負担額は数十万円程度です(年齢や年収、入院期間などによって変わります)。
費用の内訳は、「自家培養軟骨」の「材料費」216万5千円(税込)(2020年4月現在)や、その他、「手術料」「麻酔料」「検査料」「注射料」「画像診断料」「入院料」などが含まれます。これらの費用は病院により異なりますが、全て保険が適用されます。保険が適用されないものとして「食事代」「個室料」「追加サービス料」などがあります。
(※)詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。

回復(リハビリ)について

「自家培養軟骨移植術」のリハビリ期間は、術後約1年とされています。
この長期のリハビリは、「自家培養軟骨移植術」が再生医療を用いた比較的新しい治療法であり、移植された自家培養軟骨がゆっくりと硬さを増していくため、慎重な経過観察が必要であることが影響しています。
術後のリハビリは手術と同じくらい重要です。せっかくの治療を台無しにしないためにも、回復状態を自分で判断せず、必ず医師の判断に従うことをお願いしています。

リハビリ・自家培養軟骨の状態

「自家培養軟骨」が完全な軟骨組織になるまでには一定の期間が必要であり、この期間が短くなることはありません。ここで無理をすると、定着しかけた「自家培養軟骨」が剝がれ大変なことになってしまいます。

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