角膜の再生医療について、角膜の再生医療「自家培養角膜上皮nについてご説明します。

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角膜の再生医療について

角膜の再生医療とは?

角膜について 角膜について

人間の五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)のうち、最も情報量が多いのは視覚といわれています。視覚で重要な役割を担う器官「眼」は、角膜から網膜までの長さが約24mmと非常に小さな臓器です。角膜から水晶体を通じて網膜に映し出された画像情報は、視神経を通じて脳に伝達され、物が見えていると認識します。一番表面にある角膜は、眼に光を取り入れ、水晶体とともに光を屈折させてピントを合わせる役割があります。また、外界から細菌や化学物質の侵入を防ぎ、内部を保護する役割も果たしています。
角膜は単純な組織でありながら、透明性、無血管性、形態維持能、栄養維持機構と他の組織にはない特徴をもっています。この特徴があることから、今までの医学では、角膜の代替となるものを作ることができませんでした。

角膜について

ゆえに、ケガややけどなどで角膜が大きく損傷した場合は、角膜移植が唯一の治療法であり、それには数少ないドナー角膜が提供される順番を待たなければなりませんでした。そこに大きな希望をもたらしたのが角膜の再生医療です。

角膜は主に3つの細胞層によって構成されています。「角膜上皮」「角膜実質」「角膜内皮」です。この3層の中でもいち早く研究され治療に採用されているのが「自家培養角膜上皮」です。

ペレグリーニ教授

イタリアのペレグリーニ教授らにより発表された「自家培養角膜上皮」は、患者さんの健常な角膜上皮幹細胞を「3T3細胞」を用いて培養した角膜シートです。その「自家培養角膜上皮」は、1997年、世界で初めて角膜上皮幹細胞疲弊症(Limbal Stem Cell Deficiency /LSCD)の患者さんに移植され、良好な結果が報告されました。日本では、(株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングが、ペレグリーニ教授らのグループおよび大阪大学の西田教授の技術をもとに開発し、2020年3月に製造販売承認を受けています。

角膜の再生医療「自家培養角膜上皮」とは ?

自家培養角膜上皮 「自家培養角膜上皮」は、「角膜上皮」「角膜実質」「角膜内皮」の3層に分かれた中で、一番外界側の「角膜上皮層の再生医療」になります。角膜と結膜の境界を「角膜輪部」と呼びますが、その部分には「角膜上皮幹細胞」が存在します。患者さんの正常な角膜輪部組織から角膜上皮幹細胞を取り出し、ペレグリーニ教授らが用いた「3T3細胞」と由来が同じ細胞を使用し培養して「自家培養角膜上皮」シートを作ります。角膜輪部組織をそのまま移植に用いる角膜輪部移植と比較して、患者さんへの侵襲は低減されます。また、患者さんの組織由来のため拒絶反応もありません。

自家培養角膜上皮製造法

どんな治療ができるのでしょう ?

角膜上皮幹細胞疲弊症(かくまくじょうひかんさいぼうひへいしょう)の治療

人間の眼の角膜は、傷ついて角膜上皮が失われた場合は、角膜輪部から供給された角膜上皮細胞が増殖して速やかに治癒します。しかし、やけどや化学物質が目に入ることなどにより角膜輪部を含む広い領域の角膜上皮が失われると、角膜輪部周囲の血管を伴う結膜上皮が侵入してきます。そうすると、角膜表面が結膜上皮に覆われ、最終的に角膜上皮が混濁して視力が低下してしまいます。このような病態を「LSCD」と呼びます。LSCDの治療には、患者さん自身の健康な眼から採取した角膜輪部を移植する「自家角膜輪部移植」や、他人(同種)の角膜輪部を移植する「同種角膜輪部移植」があります。しかし「自家角膜輪部移植」は、健常眼からの広範な角膜輪部(角膜輪部の約30~40%)の採取が必要なため侵襲性が高くリスクがあります。「同種角膜輪部移植」は、長期的な免疫抑制が必要であり、提供してくれるドナーも不足しています。また、「羊膜移植」がおこなわれる場合があります。しかし、羊膜には炎症を抑制したり、細胞の伸展をサポートするなどの効果がありますが、角膜上皮幹細胞は含まれていません。そのため、患者さんの眼に角膜上皮幹細胞が残存している必要があります。このように、これまではLSCDに対する十分な治療法は存在しませんでした。

老夫婦のイラスト 再生医療「自家培養角膜上皮」では、こうした課題を克服できる可能性があります。手術は患者さんの角膜上を覆っている結膜上皮細胞を取り除き、培養された「自家培養角膜上皮」シートを移植します。移植された「自家培養角膜上皮」に含まれる角膜上皮幹細胞が生着(細胞が生きたまま体表面につく)、上皮化し、角膜上皮が再建されます。
この治療法は、従来のLSCD治療に大きな進歩をもたらし、患者さんのQOLの向上に貢献できると注目されています。

保険の適用について

保険適用 2020年6月より「自家培養角膜上皮」が保険適用となりました。この治療は高額療養費制度の対象となります。
高額療養費制度についてはこちらをご覧ください。

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