医療法人けいしん会 横浜西口菅原皮膚科 院長
三上 万理子 先生
Mikami Mariko
<所属学会など>
日本皮膚科学会・日本白斑学会・光線治療推進の会 など
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医・抗菌化学療法認定医
横浜市立大学大学院 客員講師・非常勤講師
東京女子医科大学皮膚科 非常勤講師
東京薬科大学薬学部 医療薬学科臨床微生物学教室 客員研究員
帝京大学医療技術学部臨床検査学科 客員研究員
琉球大学皮膚科学教室 客員研究員
日本ワンヘルスサイエンス学会 理事
クローバーヘルス インターナショナル 監事
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三上先生は白斑の診療に非常に力を入れられていますが、まず、白斑とはどのような疾患なのか、また、先生の治療方針を教えてください。
三上先生:白斑は、皮膚の色を作る「メラノサイト」という細胞に対して、自分自身の免疫が過剰に反応してしまい、細胞が壊されたり機能が落ちたりすることで皮膚の色が抜けてしまう疾患です。いわゆる「自己免疫疾患」のひとつと考えられています。大きく分けると、片側にだけ現れる「分節型」と、全身のあちこちに広がる「非分節型(汎発型)」があり、それぞれで治療へのアプローチの仕方が異なります。今、症状が進行している時期なのか、それとも止まっている時期なのかを見極めることが非常に重要です。この病気で最も深刻なのは、単に「皮膚の色が変わる」だけにとどまらず、患者さんの心や人生そのものに大きな影響を及ぼしてしまう点です。人の視線が気になって外出できなくなったり、やりたい仕事を諦めてしまったりと、自尊心が大きく傷つけられてしまう疾患なのです。だからこそ私は、単に薬を処方して終わりではなく、患者さんの全身状態や心の負担にまでしっかりと目を向け、お一人おひとりのライフスタイルに合わせた治療計画を立てることを方針としています。紫外線治療と申しましても、機械の特徴が各々異なります。複数の機種を使いこなし、オーダーメイド治療を行うように心がけています。
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日々の診療の中で、白斑に悩む患者さんはどのようなお気持ちを抱えて来院されることが多いと感じますか?
三上先生:当院に初めていらっしゃる患者さんの多くは、「いろんな病院を回ったけれど良くならなかった」「もう治らない病気なんだ」と、半分諦めかけて深い悲しみを抱えていらっしゃいます。専門的な治療機器が揃っていない施設で「治りません」と言われてしまったり、とりあえず出された塗り薬だけを何年も続けて効果が出ず、路頭に迷ってしまったりするケースが非常に多いと感じています。白斑は「治りにくい」というイメージが先行しがちですが、決して放置してよい病気ではありません。まずはその不安な思いをじっくりと聞き、患者さんが抱えている精神的な重荷を少しでも軽くすることが私たちの最初の役割だと感じています。

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「どこに行っても良くならない」と諦めかけている患者さんに対し、先生はまずどのような言葉をかけ、治療のゴールを共有されているのでしょうか。
三上先生:これまで、きちんとした医療を受けるチャンスのなかった患者様には、その長かった辛い経験を共有し、昨今、治療の選択肢が広がってきている旨を説明いたします。そして、現在の症状がどの段階にあるのか(進行期なのか、落ち着いている状態なのか)を見極め、医学的な根拠に基づいたガイドラインに沿って治療の道筋を説明します。白斑の治療は長期戦になることも多いため、無理のない現実的なゴールを一緒に設定することが大切です。「完全に元通りにする」ことだけを目指すのではなく、「お化粧で自然にカバーできる状態まで持っていきましょう」など、患者さんが前を向いて生活の質(QOL)を取り戻せるような具体的な目標を共有しています。ただ、過度な期待をさせるような説明は行わず、はじめから治りにくい部位があること、色の出方が、毛孔一致性や病変の辺縁から濃く出てくるようなパターンが3種類あることなどを説明しています。
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先生がここまで白斑という疾患に深く向き合い、情熱を注がれるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
三上先生:大きな原動力のひとつは、私がある一人の患者さんの人生を間近で見てきたことです。その方は20代半ばで重度の白斑を発症しました。当時の医療では十分な治療の選択肢がなく、彼は症状を隠すために、本当は就きたかった職への夢を諦め、人と顔を合わせなくて済む厨房での料理人の道を選んだのです。手袋をして働き、白斑のために人生の選択肢を奪われてしまった、その方の心の苦しみを伺った時に「何としてもこの病気を治せる環境を作らなければ」と強く思いました。
また、当院を開業した私の父の影響も大きいです。父は「開業医であっても、病院レベルの最善の医療を患者さんに提供するべきだ」という強い信念を持っており、多額の私財を投じて病院並みの高度な光線治療器をいち早く導入しました。当時は家族も驚きましたが、その父の「患者さんのために一切妥協しない」という姿勢が、今の私の診療の基盤になっています。
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光線療法(紫外線治療)や外用薬で十分な効果が得られない場合、現在ではどのような新しい治療の選択肢があるのでしょうか。
三上先生:従来の治療(塗り薬や光線療法)を一定期間行っても色素が回復しない、症状が固定化してしまった難治性の白斑に対しては、「外科的治療」という選択肢があります。 以前から行われている、ご自身の正常な皮膚を小さく採取して移植する治療(ミニグラフトなど)に加えて、最近では「再生医療」の技術を用いた新しい外科的治療も可能になっています。
これは患者さんご自身の健康な皮膚をわずかに採取し、国の基準を満たした専門の施設で色素細胞(メラノサイト)を含む表皮をシート状に培養して、白斑部分に移植するという「自家培養表皮」を用いた治療です。特に広範囲の白斑でお悩みの方にとって、この再生医療を用いた治療は、大きな希望につながる新しい選択肢であると考えています。

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そのような外科的治療が必要な場合、三上先生のクリニックでは、手術を行う基幹病院との連携(病診連携)をとっておられるとお聞きしましたが、具体的にどのように治療を進めるのでしょうか。
三上先生:まず当院のようなクリニックで診察を行い、症状が安定しているか、外科的治療の適応があるかを見極めます。適応と判断すれば、当院では手術などの専門的な外科治療を行うことが難しいため、提携している大学病院等へご紹介し、そちらで皮膚の採取や移植手術を行っていただきます。そして無事に手術が終わって退院された後は、再び当院に戻っていただき、術後のフォローアップを引き継ぎます。患者さんにとっては、手術は設備の整った基幹病院で安心して受けられ、その後の術後ケアは通い慣れた地元のクリニックで受けられるという、双方のメリットを活かした連携体制を構築しています。
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手術を受けた後、クリニックでは具体的にどのような継続的なフォローアップ(術後ケア)を行うのでしょうか?
三上先生:実は、自家培養表皮の移植は「手術をして終わり」ではありません。移植した細胞がしっかりと生着し、皮膚の色素を作り出せるように育てるための「術後ケア」が非常に重要なのです。植物に例えるなら、手術は「良い種をまく」こと。そして術後に行う光線療法(エキシマレーザーなどの紫外線照射)や外用薬の塗布は、種を成長させるための「水や肥料」にあたります。当院では、移植した部位の状態をきめ細かく観察しながら、適切な強さ・頻度で光線治療を継続し、細胞の働きを活性化させていきます。この根気強いフォローアップを専門医が二人三脚でサポートすることで、より良い治療結果へと繋げていきます。

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再生医療という新たな選択肢や連携体制があることは、患者さんの希望や精神的負担の軽減にどう繋がっていると思われますか?
三上先生:大きな希望になっていると実感しています。「もう手立てがない」と思っていたところに、「まだこんな治療法がありますよ」「手術という次のステップが用意されていますよ」と示せることは、患者さんの心の救いになります。
また、白斑治療に熱心な医師同士がネットワークを作り、全国どこにいても適切な医療機関へパスを繋げるような体制づくりも少しずつ進んでいます。患者さんが孤独に病院を探し迷子になることなく、「私たちがしっかりチームでサポートしますから安心してください」とお伝えできる環境は、精神的な負担を減らしていると感じます。
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最後に、今現在、白斑の症状に深く悩み、治療を諦めかけている患者さんやそのご家族へ、三上先生からメッセージをお願いいたします。
三上先生:白斑は、一人で抱え込むにはあまりにもつらく、人生に大きな影を落としてしまうこともある疾患です。もし今、「もう治療法がない」「治らない」と言われて絶望の淵にいらっしゃるとしても、どうか諦めないでほしいと思います。
医療は日々進歩しており、適切な検査を行い、専門的な治療や再生医療といった選択肢を組み合わせることで、改善が期待できるケースはたくさんあります。私たち専門医は、皆さんが再び前を向いて歩み出せるよう、全力でサポートします。どうか一人で悩まずに、まずは白斑治療に熱意を持っている専門のクリニックの扉を叩いてみてください。一緒に、最善の治療の道を探していきましょう。
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本日は貴重なお話をありがとうございました。(取材撮影:2026年7月30日)