プロサッカー選手 近藤岳登 回復・リハビリインタビュー

2015年2月、再生医療 「自家培養軟骨移植術」「高位脛骨骨切り術(HTO)」で右ひざを手術。
2016年春からチーム練習に参加。プロスポーツ選手初のひざ再生医療治療やリハビリについてお聞きしました。

近藤選手、いよいよ本格的に復帰ですね。おめでとうございます!

●近藤選手、いよいよ本格的に復帰ですね。おめでとうございます!
本日は、手術後のリハビリやメンタルなど、復帰までのお話を伺いできればと思います。

ありがとうございます。帰ってきましたよ!(笑)
2015年2月に手術を行い、2016年の春から練習に参加しています。もちろん徐々にですが。7月くらいから通常練習、みんなと同じ練習をフルに行っています。先日、15分程度ですが、練習試合にも出場しました。

●プロ選手として初めての再生医療によるひざ軟骨治療でした。どんな感想をもちましたか。

この治療は、特にサッカー選手にぜひすすめたいです。ぼくのようにひざで苦労をしている人はたくさんいます。長く選手生活を続けたいなら、本当にこの治療は考えてみるべきです。ただまあ、本人がやりたくても、チームのこともあるから難しいこともあります。リハビリ時間とかいろいろなことがありますからね。ぼくの場合はFC大阪が全面的にバックアップしてくれたことが大きく、すごく感謝しています。

●やはりプロはリハビリ期間を気にされますよね。

そうですね、休場になりますから。だけどこれからやる人は、間違いなくぼくより早く回復すると思います。ぼくは最初だったこともあり様子見しながら、それこそビビりながら、悪戦苦闘しつつやってきましたから。

●再生医療の他に、骨切り手術も同時にされてますよね。

そうです。骨切りの影響は結構大きかったかも。最初、いやな感じでした。

それはどんな感じですか。

●それはどんな感じですか。

立っている時などは特に感じないのですが、ちょっと走ったり止まったりすると、ひざが内側に入ってくる感じがして。特にサイドステップの時などは、ひざがクンと内側に入る感じで、それが怖くてなかなか思い切り動けなかった。内側じん帯を損傷したときに似ているのかな。内側がなんかゆるい感じ。

●手術で正常な角度に骨を戻したわけですよね。

そうなんですが。きっと、ずっと曲がった角度でプレーしてきたので、医学的には真っすぐなんだろうけど、ぼく的にはそれが慣れていなくて。たぶん脳と筋肉にすごく違和感があったのでしょうね。いちばん気になっていたときは、そろそろサッカーをしようかなという時です。リハビリ中でもあり、筋力が弱っていたこともだいぶ影響していたと思います。でも、だんだんと慣れてきて、いまはほとんど気にならない程度になっています。ようやく自分のひざになってきた感じです(笑)

●再生医療の軟骨は、ひざに移植してすぐはやわらかくて、だんだん固くなってきます。1年くらいたつとだいぶ違うと思います。

へえ、なるほど、そうですか。それもあるのかな。4ヶ月前くらいから急によくなった感はあります。川に落ちた岩がだんだん角がとれて丸くなってきて、自分の体になじんできた感じ(笑)

●プロスポーツ選手は、治してからの先がありますね。

そうなんです、治るだけじゃだめですからね。サッカー選手は試合に出れないと。

2ヶ月ほど前から練習も本格参加されてるようですが、どうですか。

●2ヶ月ほど前から練習も本格参加されてるようですが、どうですか。

最初は、やはり思うようには動けなかったです。手術をやる前は、ケガのせいで実力の50%も出せなかった感じで、いまも同じ位だと思います。けれど、気持ちが全然ちがいます。手術前はどんなにがんばっても落ちる一方。いまは上を目指せます。可能性がどんどん高くなっていく。プラスの可能性が無限に広がってきました。まだまだゲーム体力、ゲーム感が戻ってきていませんが、気持ちは上向きですのでかなりいい感じです。

●いま、気になるところはありますか。

強いていえば骨切り手術で30度矯正したところが気になりますね。ひざを30度曲げる時に使う部分なのですが、そこが弱い。痛みのせいで、その部分の筋トレができていませんでした。やはりトレーナーも痛みがあれば、無理は言わないじゃないですか。前例もないのですし、誰もどこまでやっていいかわかりませんから。だから今後は、いちばん弱いその部分をうまく他とマッチングさせていくことだと思っています。

●30度は微妙な角度ですよね。

意外と30度ってすごく使う角度なんですよね。例えば床に落ちたものを普通に拾うときがこの角度。前までは、ひざを普通に曲げて拾うことができなかった。真っすぐか、角度を深くかです。やっと最近それができるようになった。筋肉も脳も忘れていた動作です(笑)実はそれが、かなりぼくのなかではうれしいことです。サッカーもかなりその角度は使うんです。スピードを上げながら走り、そこからゆっくり止まる動作が、その30度の回復のおかげでできるようになってきました。

●近藤選手のポジション(サイドバック)はそういう動作がかなり必要ですよね。

そう、アップダウンが激しいし、まさしくそうです。だからこそ痛めてしまったわけなのですが。とにかくこの動作ができることは、すごくうれしいことなんです。

●海外の例ですが、トップアスリートでこの手術を受けた方は、さらにパフォーマンスがあがったという論文もあります。

なるほど、そうだと思います。ぼくはケガをする前の自分のパフォーマンスをあえて過大評価しています。もっといける、もっとすごいプレーができたはずだ、みたいな理想の自分がいるんです。その自分に追いつき、追い越せと思ってトレーニングをしています。たぶんプロスポーツ選手はみんなそうだと思います。その結果がパフォーマンスアップにつながるんじゃないでしょうか。

●リハビリで筋トレとかはどうされていましたか。

筋力は使わなければ、あっと言う間に落ちていきます。ぼくも手術後とかはあまりの低下に愕然としたときもありました。リハビリの前半は、筋力を戻そうと全身を鍛えていたのですが、いまは上半身はそれほど鍛えていません。
バランスを意識したトレーニングに見直しています。前に戻すというより見直すです。前まではマシンを使ってやっていたのですが、いまはそれよりも動きのあるバランス力を重視したトレーニング、例えばジャンプとかです。普段、走るとか歩く動作はよくしますがジャンプはまずしませんよね。ジャンプすることで普段使わない部分が鍛えられたり、筋肉全体をバランスよく調整できることから結構重視しています。復帰するための最短の手段のひとつと考えています。もちろんひざ周りの筋トレも意識してやっています。大腿四頭筋、ハムストリングスなど、ひざを守る筋肉周りは大事ですからね。

病院の先生方に近藤選手のお話をした時、そのいちばんの興味は「復帰できたのか」「激しいスポーツに耐えられるのか」です。

●病院の先生方に近藤選手のお話をした時、そのいちばんの興味は「復帰できたのか」「激しいスポーツに耐えられるのか」です。

そうですよね。ぼくら患者は、先生がいい治療法と思わなければ、望んでも手術はできないし、先生も、いい治療じゃないと患者さんにすすめられないし。けれど、さっきも言いましたが、いまなら絶対ぼくより早く復帰できますよ。
ぼくは、様子を見ながらゆっくりやってきた。ぼくが怖がっていた部分がだいぶあります。先生は「もっと行ける、大丈夫!」ずっと言ってましたから(笑)ビビリのぼくも覚悟を決めてやってみたら、どんどんよくなってきた。
だからこれから治療する人は、ぼくより早く復帰できる。これだけは間違いないです(笑) アキレス腱治療だって、だいたい1年かかるものですよね。再生医療もそれと同じようなもの、これからの人は1年から1年半で治ると思う。
ぼくは医者ではありませんからあくまでも経験者としての個人的感想ですが(笑)ぼくが今回復帰できてきたことを、今後サッカーやスポーツ関係者がどう捉えてくれるのかが楽しみです。

●今後の目標を教えてください

もちろん公式戦にでることです。90分プラス、アディショナルタイムにフルに出場できること。それが、いちばん身近な目標です。そこだけのために、いまは全力でやってます。

●最後に何かありましたら

この治療、一般の人なら問題なくいままで通りに回復すると思います。ぼくは、サッカー選手なので要求が細かいんです。走ったり、止まったり、ステップしたり、ディフェンスしたりのさまざまな要素が無数にあってこその話であり、ひとことでいうと「わがまま」(笑) 一般のひとなら余裕で100%OKだと思います。「2回の手術がある」ことも、こんなに良くなるのなら余裕ですよ。それくらいの価値がある。可能性がゼロだったことが、無限になる。これは本当にすばらしいことです。
近藤岳登は帰ってきました。ファンのみなさんや関係者のおかげです。本当にありがとうございました。情熱の男、近藤岳登。これからもよろしくお願いします!

●本日はありがとうございました。公式試合の出場を楽しみにしています。

公式試合の出場を楽しみにしています
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